こんにちは、田中です。
ジャンプ+にて、漫画チェンソーマンの2部の連載が開始されましたね。
チェンソーマン1部は、連載の際に前衛的な作風・止まらない絶望の更新などが一部界隈で話題となった漫画であり、私もジャンプでその行く末を追っている一人でした。
まだ2部は始まったばかりですが、その1話を読んでみた感じがすごく好きだったので感想文を書きたいと思いました。
チェンソーマン2部を読んでみて、これは「陰キャが暴れる話」だという感想をすぐ抱きました。
冒頭で、「群れて学校生活を送っているクラスメイト」と「集団に馴染めない主人公」の対比がリアルに描かれています。
悲愴な感じに加え、置かれた環境に妙に強がってしまう感じもリアルで、これは俺を書いているのか? 状態でした。
作者の藤本タツキ先生もこういった異分子として過ごした学生時代の経験が確実にあり、そうでないと出てこない描写だと思わされました。
また、こうした陰キャ性にフォーカスを当てた作品は、私のようなオタク君には深く刺さりますが、どこまでメジャーに刺さりうるものなのかといった疑問も同時に感じました。
「アーニャ、ピーナッツが好き♪」といってワイワイキャッキャしているギャルにチェンソーマンが刺さるのかというと、少し疑問があります。 「アーニャ、ピーナッツが好き♪あとチェンソーマンも好きw」なんて言っているギャルがいた際には、若干殺意のようなものを抱いてしまうような気がします。
また節々の描写で、主人公の陰キャ性に可愛げのようなものが見て取れました。
クラス内で浮いている主人公が、委員長に声を掛けられ「チェンソーマンのパンのシールを集めているんだ」的なことをいうシーンがあります。
後半の戦闘シーンで「なんだテメぇ」と言われたことに対して 「なんだテメぇだぁ~!?」 と言い返してみたり、ナウシカの真似をして「我が名は戦争の悪魔!」なんてイキってみたり、反動から表出するこれらにも共感できるポイントがありました。
「“本物"はこんなに活発じゃない(キリッ」 なんて意見も出るかもしれないのですが、完全にダークサイドに堕ちて「破壊衝動を持つ無敵の人」のようになってしまうか、内心のイキりで自分の心を保つ隠れポジティブ人間でいるか、紙一重のところにいる様子は、私にはむしろ正確な陰キャ性を織り込んでいるようにいるように感じました。
私自身も、浮いてしまったが故に抱いた変な行動力みたいな面をネット上に上げているにすぎず、その部分のみフォーカスされ誤解されることも多いからです。
1話の中で主人公は2度カタルシスを迎えていました。
「そっか 私…みんなが羨ましかったんだ」
主人公が日陰→日向に出ていこうとして、自分に幼さのようなものがあったことを自覚する
「なんだ きっとみんなそんな感じで誰かに嫉妬してたんだ」
「わかってたらもっと上手く生きれたのに 友達とか彼氏とかも作れたかもしれないのに」
「もうちょっとだけ自分勝手に生きて見ればよかった」
自省と他者理解により、自分が変に社会に牙を向けてしまっていたことに気づく流れです。
学生時代から少し距離をおいた陰キャ人間が「解ってくる」あるあるに近いかと思います。
ただ、これで締めるのは少し 臭い ので最後は爆発オチというのも良いです。
これまで抱えていた陰鬱さや不安感のようなものを、爆発というある種の暴力で昇華させていく流れは梶井基次郎「檸檬」のようで、イキり陰キャの脳内がスッキリする展開だったかと思います。
2話以降も楽しみに待機していきたいと思います。